鉄道・航空業界は“砂”!? 受験生に渡したい今年の「合格祈願グッズ」

 

 

 

スベリ防止砂「勝利を砂ポート」(京阪電鉄提供)

 センター試験も終わり、受験シーズンはこれから山場を迎える。追い込みをかける受験生や親としては、本番に向けて「験担ぎ」もしておきたい。初詣でも“お願い”しただろうが、合格祈願グッズもいろいろある。定番商品から変わり種までチェックしてみよう。

 

 

 合格祈願グッズの定番といえばお菓子だ。ネスレ日本が販売するお菓子「キットカット」がブームの火付け役といわれる。

 

 商品名が「きっと勝つ」を連想させ、2000年前後から受験生の間で流行していた。商品イメージの向上や売り上げ増にもつながるとして、03年からは「受験応援販売」をスタート。ネスレ日本によると、「受験生の3人に1人が受験前に購入、5人に1人が試験会場に持参する」としている。応援メッセージを書く余白を設けた商品もある。

 

 他のお菓子メーカーも負けていない。ロッテは「受験応援!トッポ」と「受験応援!クランキー<袋>」を販売中。こちらも応援メッセージを書く欄がある。

 

 飲み物ではドトールコーヒーが、受験生向けのチルドカップ飲料を全国のコンビニ・スーパーで展開。その名も「ド通る」。ドトールと「通る」をかけた形だ。ブラックコーヒーとカフェ・ラテの2種類で、裏面にはメッセージを書くスペースがある。脳のエネルギー源でもある「ブドウ糖」も配合。お菓子とセットで飲食すると、効果倍増かもしれない。

 

 変わったところでは「受験生専用靴下」がある。肌着の福助は、足裏に滑り止めをつけた“ずり落ちにくく、スベらない”靴下を売り出した。縁起の良い「福助人形」も同封してある。

 

 合格祈願といえばやっぱり神社や寺の「お守り」。学問の神様の菅原道真公をまつる太宰府天満宮(福岡県太宰府市)のものが根強い人気だ。「学業成就 進学祈願」のお札と鉛筆などのセットが、インターネットの通販で買える。

 

 本来は参拝してお守り・お札を授かりたいが、遠方で難しい場合もある。いまはネット通販に対応している神社や寺も増えているので、活用してみては。

 

 漫画やアニメのキャラクターグッズもある。人気漫画「ワンピース」の太宰府限定合格祈願ストラップは、通販サイトで品切れになるほど。ほかにも熊本県のゆるキャラ「くまモン」の合格祈願お守りなどがある。

 

 オタクの聖地・秋葉原に近い神田明神は、近年さまざまな漫画やアニメとコラボし注目されている。いまは週刊少年ジャンプ連載中の「ぼくたちは勉強ができない」のキャラが描かれた絵馬を授与している。大学受験に関わる漫画で、神田明神で広報を務める岸川雅範さんは「受験生をはじめ、若い方々にいただいてもらいたいですね」と話す。

 

 受験生におなじみのキャラが見守ってくれるので御利益も期待できそうだ。

「砂」のお守りもある。線路にまく滑り止め用の「すべらない砂」を複数の鉄道会社が配っている。

 

 京阪電鉄では、「スベリ防止砂『勝利を砂(サ)ポート』」を05年から配布している。京都市と大津市を結ぶ大津線では急勾配区間があり、この滑り止めとして使用するもの。合格するとポストに砂を返却し、次の年に受け継ぐ伝統が10年以上続いている。同社広報は「毎年砂だけでなく、受験生やその親御さんからのお手紙まで入っている。今後も続けていきたい」と話す。

 

 砂は空の世界でも使われている。全日空では1月24日まで、羽田空港で「すべらない砂お守り」を配布する。整備士がねじを回すときに、工具の先に滑らないように付着させるもの。「今年は羽田空港に太宰府天満宮の特大絵馬も設置する。二つの御利益で受験に臨んでほしい」(同社広報)

 

 相模鉄道を運行する相鉄グループは、ゴルフ場のバンカーの砂を売り出した。バンカーは五角形をしており“合格”につながる。コース上に巧妙に配置されていて、ボールが「嫌でも入ってしまう」バンカーと言われている。洒落(しゃれ)っ気(け)もあり、受験生も和むかもしれない。

 

 縁起が良いとされる駅名が入った切符も、いろんな鉄道・バス会社が扱う。

 受験では精神的な余裕の有無が成否を分けることもある。駿台予備学校を運営する駿河台学園広報課の中村聡明課長はこう話す。

 

「日頃の努力が大事なのはもちろんですが、最後は自信を持てるかどうかも勝負。自分の使い込んだ参考書やノートをお守り代わりにする受験生も少なくありません。自信を持つ方法になるのなら何であれ、大いに活用すべきでしょう」

 もちろんお守りなんて信じない、実力が全てという人もいるだろう。それぞれに合ったやり方で自信をつけ、乗り切ってほしい。(河嶌太郎)

 

※週刊朝日  2018年1月26日号