これで合格間違いなし 福呼ぶ1600羽

 

毎日新聞  2016.1.8 

<フクロウ郵便局>これで合格間違いなし 福呼ぶ1600羽

 

 ◇受験生らが行列作る和歌山県紀の川市「下井阪簡易郵便局」

 受験シーズンを迎え、入試の願書を投函(とうかん)する受験生らが行列を作る簡易郵便局がある。和歌山県紀の川市の下井阪簡易郵便局。「不苦労」の語呂合わせから御利益があるとされるフクロウの陶器やペーパークラフト、木彫りなど約1600個がびっしりと並ぶ。ここで願書を投函し、志望校に合格したという話が口コミなどで広がり、全国から受験生やその親が投函に訪れるようになった。お礼にと納められたフクロウは今も増え続けている。

 運営する石橋彰彦さん(58)がフクロウと出会ったのは会社員時代の1995年。家族でドライブに出かけた際、同県岩出市の風吹峠の路上でけがをして羽をばたつかせていたフクロウを見つけ、保護した。自宅で手当てをし、「ポッポちゃん」と名付けた。

 約3カ月後に死んだが、当時小学生だった長女が埋葬に反対し、はくせいにして自宅の玄関に飾った。その後長男が希望の大学に合格、懸賞で10万円相当の旅行券が当たるなど「御利益」が続いたことから、フクロウの置物などを集め始めた。

 石橋さんは2007年3月から同郵便局の運営にあたる。金融機関を安全に見守ってほしいと、ポッポちゃんのはくせいを自宅から局内に移した。すると、訪れた客が「うちのフクロウも入れて」と、雑貨やハンドメード製品を持ち込むようになり、どんどん増えていった。

 「アーティストのプレミアムチケットが連続で当たった」「難しいと言われていた志望大学に受かった」。そんな報告とともに新たなフクロウを寄贈する人も多い。石橋さんは「今年も郵便局に笑顔があふれたらいいな」と、新たな報告を心待ちにしている。